PBPを完走する技術(Day3 St-Nicolas-du-Pélem〜Loudéac)

こんにちは、shuheiです。

PBPも2度目の夜が明け、最も過酷な3日目がスタートしようとしていました。

それでは本日もよろしくお願いします。

shuinout.hatenablog.jp

3日目 St-Nicolas-du-Pélem 482km 8/22 2:43

3時間の仮眠を終え、軽く腹ごしらえをします。消化にいいようにクタクタのパスタと野菜を中心に摂るスタイルです。

 

前日、ルデアックで着替えた際、暑すぎて着ていなかったインナーのモンベルスーパーメリノウールEXPもここで着て、防寒対策をします。

 

ここまで時間的貯金を作ってきましたが、出発に手間取ってしまい10分の借金からスタート。

 

今日はとうとう折り返し、ブレストまで行ってドロップバッグのあるルデアックまで戻ってくる行程です。ただPBPを通してもっとも登りが多い区間となるので覚悟が必要です。

 

まずは次のコントロール、33km先のカレを目指します。

Carhaix 514km 8/22 4:19

サン=ニコラ=デュ=ペルムを出てから2時間かからないくらいで到着。

基本的に食後1時間は出力を極力下げて走るようにしていましたが、この時間帯は涼しい為水を飲む頻度も減って無事消化ができた模様。割と調子いいです。

 

若干眠気が残っていたので10分ほどここの食堂で仮眠をしながら日本から持って来たドライ系の補給食に水を入れて放置。起きたところで食べ始めましたが、少し柔らかくて食べやすいのだけど、給水機から入れたものだから結構冷たい。もう少し常温だと思っていました。

こういうアルファ米系の補給食はよく尾西のものが紹介されますがモンベルのリゾッタシリーズはお湯だと3分、水でも10分で食べることができるので登山でもおすすめです。

webshop.montbell.jp

ちなみに個人的にはビビンバリゾッタが好き。今回も持って来ていたのですが、少し脂っこい気がして消化に悪いかなと思って梅しそリゾッタにしました。

 

ここからブレストまでほぼノンストップ90kmということで補給食もゲット。補給食は基本的にバイクメンテナンスエリアのバイク用品と一緒に取り扱われています。

 

5:18、ほぼオンタイムでリスタートをします。

気温はわからないけど、寒さはほとんど感じませんでした。それは相変わらずのアップダウンで心拍数を上げてくれる側面が大きかったと思いますが、走り始めもちょっと肌寒いくらいでいられたのも今回大きく嬉しい誤算でした。強いて言えば荷物が多いことくらいです。

 

何度か道端で座り込みながら5〜10分ほど仮眠を取りましたが、上着を着る必要ないくらい暖かく非常に過ごしやすかったです。体が冷え切る前にリスタート切るのもポイント。

Roc'h Trevezel峠 8/22 7:30

PBPのルート上最高峰となる384mのRoc'h Trevezel(ロック・トレベゼル)峠を朝日とともに迎えました。

ここからブレストまでは下り基調ということもあり、多くの人が立ち止まって写真を撮っていました。

僕も何度も立ち止まるものだから一緒に走っていた外国人の女性ランドナーから「写真撮ってあげようか?」と声をかけてもらったのですが「いえいえ大丈夫です!」みたいな反応をしてしまった。どうせなら撮って貰えば良かったし、旅の記念に一緒に撮ればいい思い出になったかもしれないな。この旅最大級の後悔だったかも……。

 

それにしても綺麗な場所です。

なんだか渋峠を思い出しました。SR600 fujiで通った時はキツかったなあ。

shuinout.hatenablog.jp

 

ここからは港町ブレストに向けてひたすら下り坂、というわけにもいかないのですが、比較的下り多めのルートになります。

看板にもBREST(ブレスト)の文字が。とうとうここまで来たって感じです。

Brest 604km 8/22 9:44

港町というくらいだからひたすら下っていった先の海沿いにコントロールがあるのかなと思っていたのですが、街中はこれまで以上のアップダウンが待っていました。

ははーん、なるほど鎌倉みたいなもんだな?と理解しましたが。

 

先ほどの綺麗な峠からおよそ2時間半経過し、ようやく折り返しの街Brest(ブレスト)に到着。時刻は9:44、実に1時間以上予定よりも早く到着できたので、少し長めの休憩を取ることにしました。

折り返しのコントロールということもあり、非常に多くのランドナーたちがいて、とてもじゃないけどレストランには並べなかったので、カフェでモーニングセットを注文。撮り忘れてしまいましたがガレットもあったような。

 

スタートから40時間以内にブレストに着く目標でしたが、38時間台で到着し僕の中では及第点。ぶっちゃけ国内ブルベの600kmよりもタイム早いし寝てるんじゃね?とイイ気になってました

 

しかしまだ600kmしか走行してません。

異国の地で夜スタートといういつもと違う要素があるにせよ、所詮は600km、いつも通りのことをいつも通りにこなしていつも通り600kmに到達しているだけなので、はっきり言って喜んでいる場合ではありません。

むしろここからが2度目の本番です。

 

600km以上のブルベに参加したことがない僕にとってここからは時間的にも距離的にも未踏の領域。ただ残りの距離や制限時間を意識してしまうと精神的にきつい上にできることもない為、今まで通り次の目的地に目標タイムで辿り着くことだけを意識して11:08ブレストをリスタート、PBP後半戦に突入しました。

 

後半戦突入してまもなく、大西洋が見えて来ました。

初めて目にする大西洋、まさか自転車で見にくるとは思いもしませんでした。

 

そしてPBP名物のプルガステル橋です。

ここも多くのランドナーが足を止めて写真撮影をしていました。

非常に気持ちのいい場所ですが少し暑い。

 

この橋の先で私設エイド的に何かを配っている方たちを見かけました。何を配っているのかわからなかったのですが受け取ってみるとイチゴ!

実は個人的な理由で果物はあまり得意じゃないのですが(大人になってようやく食べられるようになりました)、この時ばかりは本当にありがたかったです。最高においしいイチゴをいただきました。果物食べられるようになってて良かった。

 

さて、先を急ぎます。

ブレストの次はついさっき(と言っても5時間以上前ですが)立ち寄ったカレを目指します。

ルートこそ違えどやはり90km以上あるので、少し前のPont-de-Buis-lés-Quimerch(ポン=ド=ピュイ=レ=キメルシュ)という町を目指して進みます。

Pont-de-Buis-lés-Quimerch 649km 13:42

ブレスト、プルガステル橋を越えてからここまで40kmほど、本当にきつい坂道ばかりでした。

ここまでのPBPのルートのアップダウンはせいぜい3〜4%の坂を長くても300m程度登るということが多かったのですが(中には8%近い坂もあるし1km以上続く坂もありましたけど)、ブレストを出てからは8%越えは当たり前、1km程度続くのもザラ、その上ろくに下り坂がない、結構タフな道でした。

もしかして公式クローズタイムが前半キツかったのってそういうこと?と勘ぐりたくなるレベル。

 

ですが、事前に区間累積標高を出していて、この区間速度が出ないことがわかっていたので、スケジュール的には問題なく、安定的に貯金を作れていました。昨日と同様この貯金は睡眠時間に充てられる予定ですが、徐々に作った貯金が休憩時間に奪われるようになっていました。

この辺、国内ブルベでも割とよくある傾向で、前半景気良く貯金が作れていても、後半の休憩時間の伸びから貯金が作りにくくなっていました。

 

予定通りポン=ド=ピュイ=レ=キメルシュの町に入ってすぐに町の売店のようなお店を見つけられたのはラッキーでした。コーラを決めて20分ほど休憩してリスタートです。

シークレットコントロール Pleyben 660km 8/22 14:29

リスタートして30分ほど、激坂を登った先に突然Controlの文字が見えました。なんとここもシークレットです。

おそらく今回シークレットを見逃した人いないんじゃないかなと思います。必ずシークレットコントロールを抜けないとルートに戻れない設計になっていました。

 

そろそろ暑い時間帯になっていたので、ペットボトルの水を補給してカレに向かいます。

Carhaix 696km 8/22 16:51

およそ12時間ぶりに帰って来ました、カレ。

もちろん疲労もあるのですが、とにかく登りがきつい区間でしたが、この登り基調の区間は今日の目的地ルデアックまで続きます。

この後も長い戦いが強いられる為しっかり補給を取るためにレストランで食事をしました。

前半戦ほど混んでいないようですぐに食事できましたが、ここに来てトイレ問題にぶつかってしまいました。非常に長い列。このトイレだけで30分以上時間を使ってしまい、1時間半の貯金が1時間に減ってしまいました。

 

次は30kmほど先のWP、Gouarec(グアレック)を目指しますが、こうなってくると人間不思議なもので、貯金もあるし区間速度も落ちてないのに不安になってきます

ブルベとは己の精神を守ることで完走するイベントです。

このままで大丈夫かな、これ以上胃腸が悪くなったりしないかな、今まで起きたこともないメカトラになったりしないかな、今夜は眠れるかな、など今考えてもどうでもいいことばかり考えてしまいます。

だいたいのことは今考えてもできることはペダルを回す以外にないんですよ。ブルベで自己決定権があるのはペダルを回すこと、休憩時間、口に入れるものはっきり言ってこの3つだけです。余計なことは考えずにただひたすら前に進むだけ。

でもPBPのルートはある意味でそれがしやすいルートでもありました。とにかくアップダウンが多く、登りで走りに集中させてくれるので、メンタルは保ちやすかったなと思います。

Gouarec 731km 8/22 19:38

ほんの少し日が傾き始めた頃、WPのグアレックに到着。ここではさっと食事だけして素早くリスタートをしました。

なんか今までそんなに摂取してなかったジャガイモと鶏肉をメインに、サラダも摂取しています。

今日の仮眠所、ルデアックまであと50kmほど。

ここからまた登りがキツイ区間になりますが、これを抜ければ残りのルートはほとんど下り基調のルートになります。

ルデアック直前、一気に下った先の橋から見た街並み。Pontivy(ポンティビー)という街のようです。仮眠時間にも影響があるので一刻も急ぐべき瞬間ではあったのですが。月明かりも非常に綺麗でつい立ち止まってしまいました。

Loudéac 782km 8/22 23:14

とうとう2度目のルデアックに戻って来ました。疲れた。

ドロップバッグを受け取って仮眠所に7ユーロ支払って2時まで眠りにつきます。

 

それでは今日はこのあたりで。