PBPを完走する技術(Day4 Loudéac〜Mortagne-au-Perche編)
こんにちは、shuheiです。
PBPも4日目となり、かなり大詰めとなりました。
それでは本日もよろしくお願いします。
- 50分の出遅れ、クローズタイムの危機
- Tinténiac 867km 8/23 7:41
- Fougères 927km 8/23 11:54
- Villaines-la-Juhel 1017km 8/23 18:25
- Mortagne-au-Perche 1102km 8/24 0:29
50分の出遅れ、クローズタイムの危機
8/23 2時に起床。
ルデアックの仮眠所はあまり環境が良くないと聞いていましたがなるほど確かに。いびきなどの騒音については耳栓で対応し、寒さについてはドロップバッグに仕込んだシュラフを利用しました。
コットを案内されたので本来ならエアマットを敷くべきだったのですがエアマットを膨らませるのも5分ほどかかるし起きた後仕舞うのも面倒なのでやはり使いませんでした。
シュラフはコンフォート5度のモンベルダウンハガー800#3でちょうど良かった。起きてシュラフから出た時になるほど確かに寒いと感じました。
ドロップバッグがこれでパンパンになってましたが正解でしたね、ルデアックでもぐっすり眠れました2時間半くらいだけど。
食事を摂ってドロップバッグを入れ替えて着替えをして出発をします。
当初の予定ではもっと冷え込むことを想定していて、4月末に参加したBRM422埼玉600アタック二本松の気温を想定した装備でいました。
ですが、予想外に気温が高く、夜間や早朝も通常装備で問題なく走行できそうだった為、ここで装備を一新しました。
- モンベルスーパーメリノウールEXP. → ファイントラックドライレイヤーウォーム
- モンベルスーパーメリノウールウエストウォーマー(ドロップ!)
- ネックウォーマー(ドロップ!)
- パールイズミシューズカバー(ドロップ!)
- フリース(ドロップ!)
最終日0時ごろから、ランブイエでは雷雨の予報が出ていたため、雨天装備はそのままにしました。
- The North Face クライムライトジャケット
- The North Face マウンテンレインパンツ
- テムレス 02ウインター
- ビニールシューズカバー
そんなこんなをしていたらリスタートが50分も遅れてしまい、3:22出走となってしまいました。
ルデアックのリスタート予定は2:34、この時間までにリスタートしないと次のクローズ時間に間に合わないかもしれない限界出走時刻が3:02と、多めに見ても20分の借金。
これに気づいたのはリスタートをしてから10kmほど進んでからでした。疲労恐るべし。
次の目的地はWPであるケディヤックが60km先、コントロールのタンテニアックがさらに25km先です。この距離を3日目の体力で20分縮めるのは相当頑張らないといけない。その上時々やってくる睡魔のため5〜10分道端で眠るなんてことをしていてはそうとう厳しい。タンテニアックのクローズ時間は8:45と5時間ほどしかない状況でした。
普段なら85km5時間なんて一度休憩とろうかくらいの猶予があるレベルですが、すでに未踏の800kmを走破している状態です。いつも通りに進めるかどうかは全くわかりませんでした。
PBP2023、出走して以来最大のピンチが待っていました。
焦りはトラブルを生み、トラブルは遅れを生みます。前回の記事でも言ったように走行中のランドナーができることはペダルを回すことしかできません。
暗闇を走りながらこの睡魔をどうしたらいいか、クローズタイムまで間に合うかどうか、色んな事をぐるぐると考えながらそれでも眠い!とどうしようもない状況の中、隣から日本人の参加者の方に声を掛けてもらいました。
日本ジャージを着ていたから日本人だと思ったとのこと。AJ公式のPBPジャージ着ていて良かった!
ここで九死に一生を得てなんとか持ち堪えました。
薄らと明るくなってきた中、WPのケディヤックに到着。声を掛けてくださった方はここにご友人がいらっしゃるとのことで離脱。
ここがコントロールでない事を確認して、僕は復路ケディヤックをスルーし、ここでの所要時間30分の予定を飛ばしてタンテニアックまで走りました。
この時点で眠気はなくなっていて単独走となっていましたが残り25km。なんとか当初の目標時刻までに到着できそうな見込みでした。
Tinténiac 867km 8/23 7:41
だいぶ明るくなってきたところでタンテニアックに到着。蓋を開けてみれば30分ほど貯金を作れていました。これは俺の走力すげーではなくて、いかに当初の予定がザルだったかということ。あと一緒に走ってくれた方に本当に感謝です。あの奇跡がなければ今こうして記事を書くことができていなかったかもしれません。
最大のピンチを切り抜け、コース的にも比較的下り基調になったおかげで、かなり気持ち的にゆとりができました。
次のコントロールは60km先のフジェールですが、途中休憩を挟んだりやりたい放題です。
往路で印象的だった教会を撮りました。フランスの田舎町は教会が非常に大きく目立つので町に入るのが楽しみでもありました。
こんな感じのところでコーラ休憩。
フランスではコカというと伝わります。
Fougères 927km 8/23 11:54
ルデアック以降、久しぶりの登り区間でしたが、予定より1時間ほど早くフジェールに到着。
カフェで軽く食事をして早めにリスタートを切りました。それでも30分掛かるのだから、やはりPBPのコントロールは時間を取られるという事前情報はその通りでした。
タンテニアックからモルターニュまでの区間はほぼ往路と復路が同じ道なので、たまに「あ、ここ往路で通ったな」と思い出すことがあったのですが、ほとんど忘れていました。それがある意味でフレッシュな気持ちで走ることができたのかなと思っています。
この区間は割と日本人の参加者の方と話しながら進むこともでき、なかなかメンタル的にも進みやすい区間でした。
本当に話しながら走れるのは幸せなことで、参加者400人弱といえど、それでも道中お会いできるのは20人程度かなというところ。さらに同じくらいのペースで走ってくれて会話もしてくれるような方、なかなかいないんですよね。
ただ4日目になるとみんな疲れてくるのか、ゴールもある程度見えてくるからか、逆にゆとりが出て来てる印象でした。この時点で残り300kmを切っているわけで、300kmだと早ければ15時間以内、遅くともここから20時間以内走り切れるイメージが湧いてくるのでしょう。
なんてことを考えていたら、ゴールの制限時間や残りの距離がチラついてしまい、逆に不安になってしまったので、僕は変わらず次の目的地のことだけを考えながら走るようにしました。とにかくこの走法が一番メンタルを守ることができました。
次のコントロールが90km先のヴィレンヌ=ラ=ジュエルまで距離があった為、途中Gorron(ゴロン)という町の私設エイドで補給。
久しぶりの大規模エイドで、これはPBP公式エイドなのか見間違うほどでした。本当にどういう運営体制なんだろう。本当に助かります。
サンドイッチを2つ購入。一つはラップでぐるぐるまきにしてもらってジャージのバックポケットにしまって後で食べます。
真ん中のはライスプディングというもので、おかゆ的なものかなと思っていたら本当にプリンの味をしたお米のスイーツでした。すごい美味しい。日本でも食べたいなと思ったフランス菓子です。
時刻は17時を回って、ちょうど1000km、70時間で走破のタイミングを写真に撮れました。これでRM1000も走れることがわかりました。
ただ元気かというとそうでもなくて、このタイミングで2度目の胃薬を飲みました。さっきのサンドイッチの消化が間に合わず少し気分が悪くなっていたのです。今まで飲んだこともない胃薬でしたが持って来て助かりました。
Villaines-la-Juhel 1017km 8/23 18:25
往路は深夜に到着したこともありランドナーばかりでしたが、復路ヴィレンヌは盛大な応援を受けて到着しました。
この雰囲気、出国前の勉強会でPBPに出場したみんなが勇者になるとお聞きしたことを思い出しました。まだゴールまで200kmもあるのに感動してしまってちょっと泣きそうになりました。
4日目の目的地モルターニュまで残り80kmほど、最後の食事をして向かいます。
どういうわけか、子供が案内してくれて、トレーを持ってくれて、アレが食べたいコレが欲しいと指をさすと取って、会計をした後も食事会場まで運んでくれるホスピタリティぶり。なんだか申し訳なく思ってしまいました。そういえば往路でも子供が仮眠所まで連れて行ってくれて、時間になったら起こしてくれてましたね。
PBPも残り200kmとなり、このヴィレンヌ〜モルターニュの区間、久しぶりにきつめの上り坂の区間となります。
思えば往路はルデアックチームの超高速パックに引っ張ってもらってめちゃくちゃなタイムでヴィレンヌまで到着したのですが、それは下り基調ということもあったのでしょう。
途中Alençon(アランソン)という移民の多い町でケバブを食べながら、外国のランドナーとインスタのアカウントを交換したり、日本のランドナーとお話させてもらいました。
胃腸対策のために味噌チューブを持っているという話を伺い、なるほどと。
胃の中を常に空にしないように、胃液が薄まらないようにという対策のようでした。
あと30時間ほど早くその情報にアクセスできていれば……。
厳冬期登山でも練乳のチューブを持っていくという話は聞いたことあったのですが、それは氷点下でも凍らず、グローブをつけたままでも手軽にカロリーが摂取できる補給食として利用されているもので、今回は補給に関してはコントロールもあるし街のレストランもあるしとたかを括っていたのでした。
次暑くて水を飲みながら進むような時は味噌チューブ的なものを用意しよう。どんなに対策をしていてもまだまだやれることあるもんですね。
今回PBP中初めてコントロール以外のレストランに立ち寄ったんですけども、もっとこういう時間が増えたらいいなと思いました。
ケバブ屋で30分ほど休憩をして残り45km、モルターニュを目指します。
ここが最後の激坂区間、特にモルターニュに入る直前は本当にきつくて長い坂が待っていました。
PBPをこれだけ走っていると、「次のコントロールまでの距離が10km程度、ってことこの坂を登ると街がひとつあって、もう一度降って登り返した先がコントロールの街だな」みたいなことが予期できるようになってきます。ただ絶妙なのは残り7kmくらいで上り坂になっていると、結構読めなくて、軽いダウンを挟みながら順調にグイグイ7km全部登ってコントロールということもありました。ちょうどモルターニュがそういうコントロールでした。
確かに往路ではモルターニュを出てから長い下り坂がありましたが、そうかそれを上り返させられてるんですね。
そして坂を上り切ってカーブを曲がった先に10%を越えるラストスパートが……。ほんの100m程度だったと思いますが、ここまで感謝しかしていなかったPBP運営に対して初めて呪詛の言葉を吐きそうになりました。
Mortagne-au-Perche 1102km 8/24 0:29
なんとか日付が変わる前に到着したかったのですが、30分も日を跨いでしまいました。
それでも予定より30分も早く到着しているので良しとします。
往路でも軽く10分ほど仮眠をしてレストランも暖かかったことを確認しているので、仮眠所には行かずレストランでシュラフカバーとアイマスクと耳栓で仮眠をすることに。
iPhoneのタイマーは2時に起きれるようにセット。翌日雨の予報だったので、雨装備を準備して起きたら着るだけでいいようにしました。このあたりは今朝のルデアックでの失敗を元に先に準備をしています。
この4日間ではじめて仮眠所を使わずに寝ましたが、当然のことながらやはり若干寝づらいです。ドロップバッグに入れたエアマットは膨らます時間がもったいなくて結局使わずじまいでしたが、ここで使えたらよかったなとか思っていたらいつの間にか意識がなくなっていました。
ふと気になってアイマスクを外しあたりを見回しました。
さっきと少し様子が違うみたい。ドルーに向けて出走した人が何人かいたようでした。
今何時だろう?ジャージのバックポケットに手を伸ばしiPhoneを見ると目覚ましのためのタイマーが止まっていました。
それでは今日はこんなところで。
PBPを完走する技術(Day3 St-Nicolas-du-Pélem〜Loudéac)
こんにちは、shuheiです。
PBPも2度目の夜が明け、最も過酷な3日目がスタートしようとしていました。
それでは本日もよろしくお願いします。
- 3日目 St-Nicolas-du-Pélem 482km 8/22 2:43
- Carhaix 514km 8/22 4:19
- Roc'h Trevezel峠 8/22 7:30
- Brest 604km 8/22 9:44
- Pont-de-Buis-lés-Quimerch 649km 13:42
- シークレットコントロール Pleyben 660km 8/22 14:29
- Carhaix 696km 8/22 16:51
- Gouarec 731km 8/22 19:38
- Loudéac 782km 8/22 23:14
3日目 St-Nicolas-du-Pélem 482km 8/22 2:43
3時間の仮眠を終え、軽く腹ごしらえをします。消化にいいようにクタクタのパスタと野菜を中心に摂るスタイルです。
前日、ルデアックで着替えた際、暑すぎて着ていなかったインナーのモンベルスーパーメリノウールEXPもここで着て、防寒対策をします。
ここまで時間的貯金を作ってきましたが、出発に手間取ってしまい10分の借金からスタート。
今日はとうとう折り返し、ブレストまで行ってドロップバッグのあるルデアックまで戻ってくる行程です。ただPBPを通してもっとも登りが多い区間となるので覚悟が必要です。
まずは次のコントロール、33km先のカレを目指します。
Carhaix 514km 8/22 4:19
サン=ニコラ=デュ=ペルムを出てから2時間かからないくらいで到着。
基本的に食後1時間は出力を極力下げて走るようにしていましたが、この時間帯は涼しい為水を飲む頻度も減って無事消化ができた模様。割と調子いいです。
若干眠気が残っていたので10分ほどここの食堂で仮眠をしながら日本から持って来たドライ系の補給食に水を入れて放置。起きたところで食べ始めましたが、少し柔らかくて食べやすいのだけど、給水機から入れたものだから結構冷たい。もう少し常温だと思っていました。
こういうアルファ米系の補給食はよく尾西のものが紹介されますがモンベルのリゾッタシリーズはお湯だと3分、水でも10分で食べることができるので登山でもおすすめです。
ちなみに個人的にはビビンバリゾッタが好き。今回も持って来ていたのですが、少し脂っこい気がして消化に悪いかなと思って梅しそリゾッタにしました。
ここからブレストまでほぼノンストップ90kmということで補給食もゲット。補給食は基本的にバイクメンテナンスエリアのバイク用品と一緒に取り扱われています。
5:18、ほぼオンタイムでリスタートをします。
気温はわからないけど、寒さはほとんど感じませんでした。それは相変わらずのアップダウンで心拍数を上げてくれる側面が大きかったと思いますが、走り始めもちょっと肌寒いくらいでいられたのも今回大きく嬉しい誤算でした。強いて言えば荷物が多いことくらいです。
何度か道端で座り込みながら5〜10分ほど仮眠を取りましたが、上着を着る必要ないくらい暖かく非常に過ごしやすかったです。体が冷え切る前にリスタート切るのもポイント。
Roc'h Trevezel峠 8/22 7:30
PBPのルート上最高峰となる384mのRoc'h Trevezel(ロック・トレベゼル)峠を朝日とともに迎えました。
ここからブレストまでは下り基調ということもあり、多くの人が立ち止まって写真を撮っていました。
僕も何度も立ち止まるものだから一緒に走っていた外国人の女性ランドナーから「写真撮ってあげようか?」と声をかけてもらったのですが「いえいえ大丈夫です!」みたいな反応をしてしまった。どうせなら撮って貰えば良かったし、旅の記念に一緒に撮ればいい思い出になったかもしれないな。この旅最大級の後悔だったかも……。
それにしても綺麗な場所です。
なんだか渋峠を思い出しました。SR600 fujiで通った時はキツかったなあ。
ここからは港町ブレストに向けてひたすら下り坂、というわけにもいかないのですが、比較的下り多めのルートになります。
看板にもBREST(ブレスト)の文字が。とうとうここまで来たって感じです。
Brest 604km 8/22 9:44
港町というくらいだからひたすら下っていった先の海沿いにコントロールがあるのかなと思っていたのですが、街中はこれまで以上のアップダウンが待っていました。
ははーん、なるほど鎌倉みたいなもんだな?と理解しましたが。
先ほどの綺麗な峠からおよそ2時間半経過し、ようやく折り返しの街Brest(ブレスト)に到着。時刻は9:44、実に1時間以上予定よりも早く到着できたので、少し長めの休憩を取ることにしました。
折り返しのコントロールということもあり、非常に多くのランドナーたちがいて、とてもじゃないけどレストランには並べなかったので、カフェでモーニングセットを注文。撮り忘れてしまいましたがガレットもあったような。
スタートから40時間以内にブレストに着く目標でしたが、38時間台で到着し僕の中では及第点。ぶっちゃけ国内ブルベの600kmよりもタイム早いし寝てるんじゃね?とイイ気になってました。
しかしまだ600kmしか走行してません。
異国の地で夜スタートといういつもと違う要素があるにせよ、所詮は600km、いつも通りのことをいつも通りにこなしていつも通り600kmに到達しているだけなので、はっきり言って喜んでいる場合ではありません。
むしろここからが2度目の本番です。
600km以上のブルベに参加したことがない僕にとってここからは時間的にも距離的にも未踏の領域。ただ残りの距離や制限時間を意識してしまうと精神的にきつい上にできることもない為、今まで通り次の目的地に目標タイムで辿り着くことだけを意識して11:08ブレストをリスタート、PBP後半戦に突入しました。
後半戦突入してまもなく、大西洋が見えて来ました。
初めて目にする大西洋、まさか自転車で見にくるとは思いもしませんでした。
そしてPBP名物のプルガステル橋です。
ここも多くのランドナーが足を止めて写真撮影をしていました。
非常に気持ちのいい場所ですが少し暑い。
この橋の先で私設エイド的に何かを配っている方たちを見かけました。何を配っているのかわからなかったのですが受け取ってみるとイチゴ!
実は個人的な理由で果物はあまり得意じゃないのですが(大人になってようやく食べられるようになりました)、この時ばかりは本当にありがたかったです。最高においしいイチゴをいただきました。果物食べられるようになってて良かった。
さて、先を急ぎます。
ブレストの次はついさっき(と言っても5時間以上前ですが)立ち寄ったカレを目指します。
ルートこそ違えどやはり90km以上あるので、少し前のPont-de-Buis-lés-Quimerch(ポン=ド=ピュイ=レ=キメルシュ)という町を目指して進みます。
Pont-de-Buis-lés-Quimerch 649km 13:42
ブレスト、プルガステル橋を越えてからここまで40kmほど、本当にきつい坂道ばかりでした。
ここまでのPBPのルートのアップダウンはせいぜい3〜4%の坂を長くても300m程度登るということが多かったのですが(中には8%近い坂もあるし1km以上続く坂もありましたけど)、ブレストを出てからは8%越えは当たり前、1km程度続くのもザラ、その上ろくに下り坂がない、結構タフな道でした。
もしかして公式クローズタイムが前半キツかったのってそういうこと?と勘ぐりたくなるレベル。
ですが、事前に区間累積標高を出していて、この区間速度が出ないことがわかっていたので、スケジュール的には問題なく、安定的に貯金を作れていました。昨日と同様この貯金は睡眠時間に充てられる予定ですが、徐々に作った貯金が休憩時間に奪われるようになっていました。
この辺、国内ブルベでも割とよくある傾向で、前半景気良く貯金が作れていても、後半の休憩時間の伸びから貯金が作りにくくなっていました。
予定通りポン=ド=ピュイ=レ=キメルシュの町に入ってすぐに町の売店のようなお店を見つけられたのはラッキーでした。コーラを決めて20分ほど休憩してリスタートです。
シークレットコントロール Pleyben 660km 8/22 14:29
リスタートして30分ほど、激坂を登った先に突然Controlの文字が見えました。なんとここもシークレットです。
おそらく今回シークレットを見逃した人いないんじゃないかなと思います。必ずシークレットコントロールを抜けないとルートに戻れない設計になっていました。
そろそろ暑い時間帯になっていたので、ペットボトルの水を補給してカレに向かいます。
Carhaix 696km 8/22 16:51
およそ12時間ぶりに帰って来ました、カレ。
もちろん疲労もあるのですが、とにかく登りがきつい区間でしたが、この登り基調の区間は今日の目的地ルデアックまで続きます。
この後も長い戦いが強いられる為しっかり補給を取るためにレストランで食事をしました。
前半戦ほど混んでいないようですぐに食事できましたが、ここに来てトイレ問題にぶつかってしまいました。非常に長い列。このトイレだけで30分以上時間を使ってしまい、1時間半の貯金が1時間に減ってしまいました。
次は30kmほど先のWP、Gouarec(グアレック)を目指しますが、こうなってくると人間不思議なもので、貯金もあるし区間速度も落ちてないのに不安になってきます。
ブルベとは己の精神を守ることで完走するイベントです。
このままで大丈夫かな、これ以上胃腸が悪くなったりしないかな、今まで起きたこともないメカトラになったりしないかな、今夜は眠れるかな、など今考えてもどうでもいいことばかり考えてしまいます。
だいたいのことは今考えてもできることはペダルを回す以外にないんですよ。ブルベで自己決定権があるのはペダルを回すこと、休憩時間、口に入れるものはっきり言ってこの3つだけです。余計なことは考えずにただひたすら前に進むだけ。
でもPBPのルートはある意味でそれがしやすいルートでもありました。とにかくアップダウンが多く、登りで走りに集中させてくれるので、メンタルは保ちやすかったなと思います。
Gouarec 731km 8/22 19:38
ほんの少し日が傾き始めた頃、WPのグアレックに到着。ここではさっと食事だけして素早くリスタートをしました。
なんか今までそんなに摂取してなかったジャガイモと鶏肉をメインに、サラダも摂取しています。
今日の仮眠所、ルデアックまであと50kmほど。
ここからまた登りがキツイ区間になりますが、これを抜ければ残りのルートはほとんど下り基調のルートになります。
ルデアック直前、一気に下った先の橋から見た街並み。Pontivy(ポンティビー)という街のようです。仮眠時間にも影響があるので一刻も急ぐべき瞬間ではあったのですが。月明かりも非常に綺麗でつい立ち止まってしまいました。
Loudéac 782km 8/22 23:14
とうとう2度目のルデアックに戻って来ました。疲れた。
ドロップバッグを受け取って仮眠所に7ユーロ支払って2時まで眠りにつきます。
それでは今日はこのあたりで。
PBPを完走する技術(Day2 Villaines-la-Juhel〜St-Nicolas-du-Pélem)
こんにちは、shuheiです。
PBP走行編、今日はDay2。Stage3からStage6の中盤までです。
それでは本日もよろしくお願いします。
- Stage3 いよいよPBP本番へ
- Fougères 292km 8/21 9:50
- Stage4 タンテニアックへ
- Tinténiac 353km 8/21 13:25
- Stage5後半 ルデアックへ
- Loudéac 435km 8/21 18:49
- シークレットコントロール Canifuel 476km 8/21 22:20
- St-Nicolas-du-Pélem 482km 8/21 22:42
Stage3 いよいよPBP本番へ
8/21月曜日、時刻は5:41。8/20 19:00にスタートをして202kmを走り、およそ10時間40分が経過していました。仮眠を1時間以上取ったことを考えると自分の中では国内ブルベではなかなか考えられないタイムを叩いていました。少なくとも過去最速で200kmを走っていたと思います。
PBP2023は1,225kmを90時間で走ります。折り返しであるブレストは604kmでクローズタイムがスタートから40時間19分と通常の600kmブルベと遜色ないタイムで走って折り返す必要がありました。
PBPは通常夜スタート。一般的な600kmブルベが一晩しかないことを考えると、ブレストに到着するまでに普通の脚力の人で二晩越さなくてはならない為、むしろ通常の600kmブルベより若干タイム感が厳しい設定となっています。
コントロール1、ヴィレンヌを出るとそこから本格的なアップダウンが始まりました。
斜度も少しきつめの坂が増えて来て、今までのように数キロ緩やかに登って緩やかに降るような道ではなく、明確にアップダウンが続くような道になりました。
トレインもまばらになり、たまに足の合う集団もあるのですが、登りで突き放されてしまう為、ここから当分単独走となりました。
ヴィレンヌから30kmほど走った先に、かなり大掛かりな私設エイドがありました。
朝食をおざなりにしていた為、10分ほど滞在して朝ごはんとコーヒーをいただきました。
個人でやっていそうな小規模なエイドはいくつかあったものの、WPに近い規模のエイドは全体通して数箇所しかなかったように思います。
7時を過ぎるとようやく太陽が登って来て朝が来ます。
PBP初めての朝です。
出走前にどなたかのYouTubeで見かけた綺麗な街並み。あまり余裕はないものの、足を止めて写真撮影。
朝になると町のカフェが開く為、多くのランドナーが立ち寄っていました。
僕はそんな余裕がなくひたすら前へと進みます。次回チャンスがあればこんな優雅なモーニングを楽しみたいですね。
Fougères 292km 8/21 9:50
かなり大きな街にやってきました。
PBP出走して以来の大きな街で、10時近い時間になると都市部のように車がひしめき合っていました。
Fougères(フジェール)のコントロールもなかなか広く、サインをもらうコントロールとレストランが別の建物で100m近く離れた建物にあったり、集まっている人数もかなりの規模でした。ルデアック、ブレストについで3番目に規模が大きかったかも。
PBPのコントロールでは多くが学食スタイルのレストランと、売店スタイルのカフェの2種類があります。たいがいカフェの方が列が短く比較的短時間で買い物ができるのですが、ここフジェールではカフェも非常に列が長かった為、街の規模も大きかったこともあり、コントロール付近のお店で食事をすることにしました。
そこで立ち寄ったのがこちらのパン屋。
パティスリーにも見えますが、PBP名物サンドイッチジャンボンを買って走りながら食べることにしました。
Stage4 タンテニアックへ
予定より2時間近く早くフジェールを後にしました。しかしこの貯金はゆとりを生むためのものではなく、睡眠時間にあてるためのもの。当初の予定では今夜も90分ほどしか眠れないので、ここで作った貯金で睡眠時間を増やそうという作戦です。
ひとつ誤算だったのは日中の暑さ。
国内での情報収集ではとにかく夜の寒さで、最低気温を10度を下回る可能性すらありました。日中の暑さも30度を超えることはあまり想定しておらず、基本的には暖かい格好で日中の暑さは多少我慢する戦略でした。
しかし、日中の気温は30度を軽く超える暑さ。モンベルのスーパーメリのウールEXPではさすがに暑すぎたのです。
先ほど購入したサンドイッチを食べながら、汗で流れ出た水分をボトルから補給しながら、それなりの強度で走っていると段々と自分の胃腸が弱っていくのがわかりました。
長めの坂を登り切った先にはだいたい町があります。
そして町中のヒルクライムの先には大きな教会があるので、教会が見えたらあと一息となるのがPBPの常でした。
フジェールを出て2時間後、町に入ったすぐにパン屋があったのでそこでオランジーナ休憩を取りました。時刻は11時。フランスでこの時季最も暑くなるは15時〜17時くらいなので先が思いやられます。
Tinténiac 353km 8/21 13:25
Tinténiac(タンテニアック)に到着しました。この時点でおよそ2時間も予定より早く到達できていました。今夜はなかなか贅沢に眠れそう。
ただそうは問屋がおろさなかったのです。
東京ほどではないにしろ、やはり暑さが非常に堪える時間帯となっていました。
タンテニアックからWPのケディヤックまでおよそ25km。
このあたりからアップダウンもいっそう厳しくなっていきました。斜度も時々7〜8%を超え、国内の峠道と遜色ない登り方をしなくてはならなくなっていました。
しかし、そこで先月7月に実施していたSR600 Fujiの経験が活きます。
今も辛いが、あの時はもっと疲弊して足も回らなくなっていた。そんなことを思い出しては、まだ余力があると安心できると精神的には非常に楽でした。
それでも暑さや胃腸の不調にやられてしまい、とうとう足をついてしまいましたが、SR600で学んだこと、それは激坂は歩いた方が進めるし休憩になるということ。
近くを走っていた日本人ランドナーの方に心配をさせてしまい「いっそのこときちんと休憩した方がいいですよ」と助言をいただきました。
ですが、歩きながらでも進むことで休憩をしながら距離を縮められる、なおかつ激坂を体力を使うことなく越えられる一石三鳥の考え方ができていました。
しかし徐々に走ることと食事をして消化することを同時にできなくなっていることにも気づきました。消化が済むまではパワーを抑えめにして少し時間をかけながらWPのケディヤックに到着しました。
Quédillac(ケディヤック)はコントロールではないので、当然立ち寄る必要もないのですが、先ほどのダメージを少しでも解消する為、またなるべく立ち止まって補給をする為に立ち寄りました。
これまで意識していませんでしたが、テントの奥に充電スペースを発見。
トップチューブバッグにはまだ10,000mAhのモバイルバッテリーが1/4以上残っていた為ここでは当然スルーしました。
そういえばここケディヤックはイタリアのドロップバッグがあるポイントでした。
多くの国がルデアックをドロップバッグの拠点としていたのでこれはなかなか意外でしたね。
ここまで来ればあとはドロップバッグが置かれているルデアックまで60kmを切っています。まだまだ暑い時間は続いていましたが、食事の消化も済みだいぶ落ち着いてきたので先を急ぎます。
時刻は15:53。378km地点でスタートから21時間が経過しようとしていました。
Stage5後半 ルデアックへ
まもなく400kmを過ぎようという頃。ルデアックはスタートから435km地点のコントロールです。
過去のデータを見ているとルデアックに24時間以内で到着できていればPBP完走がだいぶ見えてくるというラインです。ただ僕は国内の400kmブルベでも24時間を切れるようになったのはかなり最近のことだったので、当初の想定では良くて25時間、悪くて27時間程度かかると考えていました。
ですがやはり想像以上に信号がないこと、アップダウンはあるものの下りでそれなりに稼げるということ、比較的追い風であることが後押しとなって結果的にルデアックを24時間以内に到着するという目標を達成することができました。
Loudéac 435km 8/21 18:49
およそスタートしてから24時間が経過しました。ようやく全行程の1/3ほどが進行しています。
このコントロールではドロップバッグから着替えと備品の入れ替えを行い、着替えをしてすぐに出発の予定です。
何度か言及していますが、当初はもっと寒いことを想定していたので、この時点で着替えもかなり厚着のものに着替えることになります。
モンベルのスーパーメリノウールEXP.をインナーに、CCN Japanの冬用のフリースジャージを着込むつもりでしたが、当然そんな服装だとこの時間の暑さにやられてしまいます。
ドロップバッグから取り出したのはほとんどが防寒対策のもの。
- フリース
- フリースジャージ(ウェア交換)
- フリースロングビブ(ウェア交換)
- モンベルスーパーメリノウールEXP.ロング(インナー交換)
- モバイルバッテリー10,000mAh(空っぽのものと交換)
- Gaciron V9SP-1260(片方だけ交換)
ただ交換をした現時点で気温はまだ30度前後はありそうなので、フリースとインナーは着ずにフリースジャージと反射ベストだけで走り出すことにしました。
サドルバッグにも収納できそうでしたが、出し入れに時間がかかってしまいそうだったので急遽所持していたアタックザックにレインウェアとインナーを入れて持ち運ぶスタイルに変更。これくらい軽い荷物ならザックに入れて背負ってもそんなに負担にならないはずです(そもそも着ることを前提とした装備ですしね)。
そして日本では飲んだことのない胃薬を飲んで復活を祈ります。まだ2日目、こんなところで弱るわけにはいかないのです。
シークレットコントロール Canifuel 476km 8/21 22:20
ここまで来れば、今日の残りの行程は46km、2時間半かからないくらいで仮眠所のあるサン=ニコラ=デュ=ペルムに到着する予定です。
あと10kmほどで到着かという辺り、何やら人が集まってアーチもあり「大掛かりな私設エイドかな?」と思っていたらなんとCanifuel(カニユエル)という町のシークレットコントロールでした。
シークレットコントロールは事前に告知がないクローズ時間も設定されていないコントロールのことで、ここをスルーしてしまうと完走したとしても認定を受けることができません。
過去2回の傾向ではWPがシークレットに設定されることが多かったのですが、WPは立ち寄らなくてもよいという性質上、間違えてスルーして認定を受けられなかった人が多く、大会運営側が配慮したのかな?と推測しましたがどうなんでしょう。
St-Nicolas-du-Pélem 482km 8/21 22:42
シークレットも無事通過し、20分ほどでサン=ニコラ=デュ=ペルムに到着。
アップダウンも比較的少なめで気温も下がって来ていた為すんなりと辿り着いた印象です。それくらい日中の気温がキツかった……。
出発は翌日2時半ごろ。3時間も仮眠が取れることとなりました。
ここの仮眠所はブランケットはもらえませんでしたが、暖房が効いていて非常に暖かい環境でした。
ブルベ中3時間も睡眠が取れるなんてほぼ天国ですね。
持参していたアイマスクと耳栓を付けて、翌日2時まで眠ります。
今日はこのあたりで。
PBPを完走する技術(Day1 Rambouillet〜Villaines-la-Juhel)
こんにちは、shuheiです。
とうとうPBP出走です。
それでは本日もよろしくお願いします。
- Rambouillet 0.0km 8/20 19:00
- パック & トレイン
- 私設エイド
- 最初の休憩ポイント
- Mortagne-au-Perche 120km 8/21 0:12
- Stage2 最初のコントロールへ
- Villaines-la-Juhel 202km 8/21 4:08
Rambouillet 0.0km 8/20 19:00
ここから1,200kmの旅路が始まります。
まずはStage1、Rambouillet(ランブイエ)からMortagne-au-Perche(モルターニュ=オー=ペルシュ)までの120kmです。
どれだけ長い道のりであってもまずは目先の目的地へ時間内に到着すること、これを4日間ずっと繰り返すことでゴールを目指します。
「いつも通りのことをいつも通りに」をモットーに遠くを見ず足元だけを見て進みます。足元だけを見ていられるように、全体の走行スケジュールは既に日本で作成済みです。疑うことなく着実にこなしていくスタイルです。
パック & トレイン
PBPはアップダウンが延々と続くコースであることは事前情報で持っていましたが、スタートから200kmくらいはそのアップダウンも比較的緩やかで、見ようによっては平坦と勘違いできるような傾斜がほとんどでした。
その為、この区間は僕程度の脚力であってもトレインやパックについていくことができました。写真の赤いジャージの集団はデンマークのチームのようです。このチームにおよそ60kmほどついていくことで区間速度25km/hという国内ブルベだとかなりの速度感で進むことができました。
事前情報の通り、信号がまったくないことも後押しとなっています。
時間は19:42ごろ。サマータイムが導入されていることもあり、日本よりも太陽の動きが2時間半くらい遅いイメージです。まだまだ全然明るい。
私設エイド
道中はこういった私設エイドがいくつか点在しています。
ここでは水をいただきました。思っていたより気温が高く、20:45のこの時点でダブルボトルの片方が残り100mL程度になっていました。
そしてこの時間なのにまだ夕方みたいな明るさ。
最初の休憩ポイント
スタートしてから60kmほど、時間は21:20くらい。
ここで10分ほど足を止めて休憩を取りました。体力的にも精神的にも全然進めるくらいの元気があったのですが、疲れる前に休憩を取ることにしました。
フランスの田舎道は本当に信号がなく自分の意思で止まろうと思わない限り足を止める場所がありません。
この時点で高速トレインに乗っているわけでもなかったので心置きなく休憩が取れたのは良かったかなと思います。
だいぶ暗くなって来ました。
Mortagne-au-Perche 120km 8/21 0:12
予定よりも40分ほど早く最初のウェルカムポイント(WP)、モルターニュに到着できました。
ここはWPなのでブルベカードへのサインは不要ですが、食事、補給、仮眠ができる施設です。
食堂の様子ですが、思いの外混んでいません。まだスタートして120km、速い人で4時間程度で来れる施設なので、まだ利用者が多くないのでしょう。
まだ早い時間ではありましたが、ここで10分ほど仮眠を取ることにしました。
想定よりも早く到着できているということと、眠たくなってからでは遅いので、眠くなる前に対処すると考えていたからです。
食堂内な温かく、10分程度ならブランケットなども必要なく仮眠が取れました。仮眠前にホットコーヒーでカフェインを入れておくことで目覚めをすっきりさせます。
施設内には補給食のほかウェアや靴なども販売されていました。
最終的に滞在時間40分でここのポイントを後にします。
Stage2 最初のコントロールへ
モルターニュを後にし、83km先のコントロール、Villaines-la-Juhel(ヴィレンヌ=ラ=ジュエル)を目指します。
数キロほど単独走をしていたところ、後ろから大集団がやってきました。速度感としては平地で30km/h前後のちょうど良さそうなパック。
ジャージを見ているとルデアックと書いてあるようでした。ほとんど地元のような人たちの集団。これは乗っておこうと後を追います。
このあたりもまだそこまでアップダウンはキツくなく、ついていくことにあまり無理は感じていませんでした。
パックを降りるのがもったいなかったので途中休憩を考えていた地点もスルーし、想定より1時間以上早く、予定よりも1時間半も早いタイミングでヴィレンヌに到着することになりました。これは本当に嬉しい誤算でした。
Villaines-la-Juhel 202km 8/21 4:08
とうとう最初のコントロールに到着しました。
忘れないうちにブルベカードにサインをもらって食堂の様子を見に行きます。
なるほど、これがPBP名物のレストラン渋滞か……。
確かにこれに並んで会計をして食事して、なんてやっているとそれだけで1時間近く消耗してしまいそうです。
一旦ここは諦めて先に仮眠所に行くことにしました。
ヴィレンヌでの予定していた仮眠時間は1時間ほど。
スタッフに5ユーロを支払い起床時間を伝えると、子供がブランケットを持って仮眠所まで案内してくれました。
この仮眠所は暖房も効いていて非常に快適な仮眠所で、写真のようなマットが15台ほど置かれていました。利用していたのはだいたい半分くらいだったように思います。
仮眠時間としては1時間なので非常に短いですが、出走当日昼過ぎまでホテルで寝ていたし、モルターニュでも仮眠を取っているので大丈夫でしょう。
時間になるとまたボランティアの子供が起こしにきてくれました。年齢的には小学校中学年くらいの子でしょうか。こんな遅くまで本当にありがたいです。
さて、ここからが本番です。
まだ走行距離は200kmほど。普段のブルベだとひとつのチェックポイントとなるような距離ですが、PBPはまだまだ長い。
次回Day2はStage3からです。
それでは今日はこのあたりで。
PBPを完走する技術(出走前夜)
こんにちは、shuheiです。
2023年8月、フランスでブルベ最高峰のイベントParis-Brest-Paris Randonneur 2023(PBP)が4年ぶりに開催されました。
4年に一度だけ開催される特別なブルベ、この第20回という記念すべき大会に出走してきました。
初めてのヨーロッパ、初めてのフランス、初めての海外ブルベ、初めての海外輪行と本当に初めてばかりの旅でしたが、本当に楽しい旅でした。
それでは本日もよろしくお願いします。
PBPについて
フランスのパリ郊外の町、ランブイエからブレストまで往復する1,200kmを90時間以内で走り切る自転車のイベントです。
これに出場する為には2022年11月から2023年6月までの間に200km、300km、400km、600kmのブルベを最低一回以上時間内に走り切り、Super Randonner(SR)の称号を取得していなければなりません。
今年度、初めてSRを取得し、初めてPBPに出走します。
出国前夜
8/17木曜日、翌日のフライトに備え、羽田空港付近のホテルに前泊し、翌朝8/18金曜日午前6時にホテルからのシャトルバスで羽田空港第3ターミナルに到着しました。
この日は直行便乗継便含め、PBP参加者がパリ入りするにはほとんど最後のタイミングだった為、空港内でもバイクケースを抱えた人をたくさん見ました。恐らく50人以上の日本人がバイクケースを抱えてフライトを待っていたのではないでしょうか。
出国
バイクケースと預け荷物であるバルトロを預け、保安場で手荷物と身体検査を受けてフライトまで準備完了。
手荷物に入れたモバイルバッテリーは総量50,000mAh、フロントライト4本も含めると70,000mAh近く。何か指摘されるかなと思いましたが何事もなく通過できました。
また、預け荷物に入れたチェーンオイルは危険物と見られる可能性があった為、メーカーの安全データシートを印刷してきたもののこちらも完全スルーでした。
あまりの自転車の多さに空港内もバタついていたのかもしれません。
事前申告のない自転車は別便で送らないと貨物室に入りきらないかもしれないという発言もあったと言われています。確かにANAでは三辺203cm以下の荷物については事前申告も追加料金もなく預け入れができたはずです。想定を超えるバイクケースの量だったのでしょう。
かくして14時間もの空の旅を経て、8/18金曜日16:50シャルル・ド・ゴール空港に到着。
予約していたタクシーとなかなか合流できず、予定より3時間も遅れてオテル・キリヤード・サン・カンタン・アン・イヴリーヌに到着。
時刻は21時前でしたがまだ辺りは薄明でした。さすがフランス。
前日受付
8/19土曜日、時差ボケもあってか朝6時に起きてしまいました。
ホテルの朝食はパンを中心としたフレッシュなメニュー。
軽く腹ごしらえをしてからバイクの組み立てを始めました。
僕のバイクケースは横幅が狭く、リアディレイラーを外す他、シートポスト、ペダルはもちろんハンドルも外した状態でパッキングされています。
それらを丁寧に組み上げていきました。事前にショップでレクチャーを受けた通りの手順と各種気をつけるポイントを意識しながら。
シートポストは外す前にテープでマーキングをして高さがズレないように、ハンドルも角度がわからなくならないようにテープでマーキングし、それに沿ってステムに当てがって締め上げます。
海外輪行は初めてでしたが、飛行機輪行は何度も実績があった為、リアディレイラーの取り付けも手慣れたものです。
10時30分のランブイエ公園の国立羊小屋を目指します。
ホテルから一番近いトラップ駅からN線を利用してランブイエ駅へ。N線は自転車を分解したり輪行したりせずそのまま持ち運べます。
すでに数名のランドナーが乗り込んでいました。
20分ほどの鉄道旅を楽しんだらランブイエ駅に到着です。
到着した駅には無数のランドナー達がランブイエ公園に向かって走り出す準備をしていました。その中で何人かの日本人が先導してくれていたのでくっついて行かせてもらうことにしました。
自転車でおよそ3kmほどで事前受付会場に到着。
事前受付会場に着くと一人の女性が声をかけてくれました。
「アナタは日本人?」そうですと答えると、笑顔で「ついて来て」と言っています。あの髪の長い彼が日本語を話せるからそこに並ぶといいよと教えてくれました。
日本で印刷してきたエントリーシートとパスポートを見せると、ブルベカードや公式反射ベスト、公式記念ジャージ、フレームバッジとフロントゼッケン、ヘルメットゼッケンを持って来てくれました。
受付の建屋から出るとそこではブレストまでの案内看板のレプリカと記念のドリンクボトルをもらいました。
早速反射ベストを着てみます。
国内でも時々このベストを着たランドナーと一緒にブルベに参加していましたがとてもまぶしく見えたものです。そのベストを今自分が着ていると思うと非常に感慨深いものがありました。
サン・カンタン・アン・イヴリーヌへ
ランブイエ駅のレストランで早めの昼食を摂り、一旦ホテルに戻りました。
自転車を置いて、明日のドロップバッグの準備をして、出走に不要なバイクケースやザックなどを友人に預ける為にサン・カンタン・アン・イヴリーヌのハイパーモールに向かいます。
今回日本から応援に駆けつけてくれた友人に荷物を渡し、早めにホテルに戻りました。時間は18時ごろ。
まだそんなに夜も遅くありませんでしたが、今夜は出走前夜。体を休める為に早めに眠りに付きました。
この頃、僕はまだあまり実感が湧いていませんでした。
ここまでスケジュール通りのことをスケジュール通りにこなしているだけ。受付会場では日本人の記念撮影などもあったようですが、事前に決めた予定と合わない為パスしました。
反射ベストに腕を通した時は少し感動しましたが、まだこれから1,200kmを走るということにピンと来ていなかったのです。
それは程よい緊張感とリラックスの中間にいるような、なんとも不思議な感じで異国を感じながらも全然浮かれていないどこか冷静な自分がいたのです。
ドロップバッグ預け入れ
翌日、8/20日曜日。午前9時半にタクシーでベストウェスタン・パリ・サン・カンタンへドロップバッグを預けに行き、そのままホテルに戻り二度寝。
ドロップバッグは以前記事で紹介したものをそっくりそのまま放り込んでいます。
あとは15時に目覚め、17時に会場入りするだけの状態でした。
16時前にホテルを出て今回はサン・カンタン・アン・イヴリーヌ駅方面へ。
日曜ということもあってあまり飲食店は開いていませんでしたが、バーガーキングが開いていたのでそこで昼食と夕食の二食分を買って会場入りすることにしました。
よくマクドナルドは世界共通の味と言われていますが、バーガーキングも日本で食べるものとほとんど同じ味だったように感じました。
そして17時。
ついにランブイエ城スタート付近に辿り着き、スタート時間の19時を待つだけとなりました。
いまだに実感はありません。
それでは今日はこの辺りで。
PBPの準備をする技術(カメラ編)
こんにちは、shuheiです。
わかってます。PBP準備記事で最も期待されていない記事、カメラ編です。
ここ、カメラを買う技術ブログはカメラは全ての趣味に通ずるをモットーに記事を書いています。
そんな僕がフランスのパリからブレストまで片道600km、往復1,200kmの旅をするにあたって、どのような撮影戦略を立てているのか、ぜひ最後までご覧になってください。
それでは本日もよろしくお願いします。
Nikon Z 6 + NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR
まずこちらはメイン機。24mmの広角から200mmの望遠まで抜ける普段メインとして使っている組み合わせです。
もちろんフランスという広大な土地を切り取るには24mmでは足りない場面があるかもしれませんが、今回は荷物を最小限にする為、レンズは1本だけとしています。
こちらで重量が約1,245g。軽めのリムブレーキ用ホイールの前後重量くらいですね。
RICOH GR III Diary Edition
こちらはPBPの為に導入した高級コンデジ、RICOH GR IIIです。
軽量コンパクトでありながらAPS-Cイメージセンサーを搭載した完璧で究極のスナップカメラです。重量は257g。アルミのシートポストくらいの重さです。
ブルベ中の撮影
正直そんなゆとりがあるかわかりませんが、シャッター切れなかった後悔は無駄な荷物を背負ってしまった後悔よりも大きいのです。今回はGR IIIをバッグポケットに忍ばせ、可能なかぎり撮影をします。
聞いた話によると写真は往路で撮ったほうがいいのだとか。なんでも復路はすでにそんな気力がないそうです。わかる。
観光中の撮影
前日の受付含め、観光の時はZ 6で撮影をします。
ただ、Nikonのカメラは世界では高級品ですので、ペンタ部のロゴをパーマセルテープで隠しておきます。
その他アクセサリ
今回は特に大掛かりな撮影は考えていないので、基本的なケア用品くらいしか持って行かない予定です。
ブロワー、パーマセルテープ、センサークリーナー、予備バッテリー、レンズペン、予備SDカード。
一応小型三脚を持っていこうかなと考えていますが、記念撮影とかで三脚を据えて撮影していたらそのまま持って行かれてしまいそうなのであまり出番はないかもしれません。
他のPBP参加者らしき日本人がいたら声をかけて撮ってもらうくらいしかできないかも。
まとめ
今回の主目的は撮影ではなくあくまでPBPの完走です。
撮影はついでにゆとりがあればできればいいやくらいに考えているのであまり大掛かりな装備にはなっていません。
また、空輸時は機内に手荷物として持って入ります。預け荷物でロストしてしまったり盗難にあったり、破損してしまったら困るので。
PBP関連記事で最も需要がないことはわかっていますが、のちに振り返った時にどのように考えて装備を厳選したのかわかるように備忘録的に記事を公開します。
それでは今日はこの辺りで。
PBPの準備をする技術(ドロップバッグ編)
こんにちは、shuheiです。
PBPは1,200km90時間の往復の旅で、スタート地点のランブイエから430kmほど行った先、ルデアックにドロップバッグを配置することができます。
これによって重たい荷物を持たずにルデアックで荷物にアクセスでき、不要な荷物とこれから必要になる荷物とを入れ替えたり、着替えをしたりすることができます。
今回はそのドロップバッグの中身を見ていきます。
それでは本日もよろしくお願いします。
ドロップバッグサービス
今回はグッディスポーツのドロップバッグサービスを利用することにしました。
規定では荷物のサイズが50×50×30cm以内に収めなくてはなりません。
また、パリまではザックに入れて運ぶので小さくなるものを用意したかった為、今回はハピタス折りたたみボストンLをドロップバッグとして使用します。
横幅が55cmと少し大きいのでパンパンに詰め込まないようにしないといけませんが、折り畳んだ時に20cmくらいの正方形の大きさになり、持ち運びがしやすかったのでこちらを選びました。
この中に往路430km、復路780km地点で取り出すものを詰めていきます。
ウェア関連
ウェア編で紹介した1回目の着替えと2回目の着替えを入れます。
また、防寒用の予備としてフリースとサドルバッグに入れるユニクロウルトラライトダウンが濡れてしまった時の為に、もう1着ダウンを入れておきます。
またどのタイミングで交換するかはわかりませんが、グローブも1セット入れておきます。おそらく復路ルデアックで交換することになるかな。
バッテリー関連
トップチューブバッグにAnker10,000mAhを1本常備する為に、ドロップバッグの中には2本の10,000mAhを入れておき、出発のたびに入れ替えます。おそらく電力が枯渇することはないと思いますが、念の為です。
また、20,000mAhを1本入れておき、ルデアック滞在中の充電はこの20,000mAhに任せます。
たぶん本当に電力使い切らないと思う。
これに加え、USB Type-C → LightningケーブルとUSB Type-A → USB microBケーブルも予備で入れておきます。これはトップチューブバッグで持ち運ぶケーブルが断線してしまった時を考慮して入れておきます。ここぞと言う時に断線って起こるものだと思うし、そんなに嵩張らないので入れたら得しかありません。
それとおそらく使わないであろう単四電池4本はリアライトの交換用です。
7月後半に電池交換をしたので、おそらく切れないでしょう。
フロントライトはGaciron V9SP-1260の前モデルV9SP-1200を2本入れてこちらもルデアックに到着するたびに1本ずつ交換します。
ただ場合によっては復路ルデアックでは装備しているライト2本ともバッテリー切れになっている可能性もあるので、その時は20,000mAhのモバイルバッテリーと、往路で交換した10,000mAhのバッテリーを使って充電しながら仮眠する予定です。
その他自転車関連
もちろん替えのチューブは持って走りますが、そのチューブを使い切ってしまった時の為にもう2本、ドロップバッグに入れておきます。
輪行袋もドロップバッグに入れておきます。
普段ブルベの時はサドルバッグに輪行袋を入れておき、いつトラブルがあっても輪行できるようにしていましたが、今回PBPではサドルバッグに入れて持ち運びたいものが多く、輪行袋を収納できるスペースがなくなりそうなので、ドロップバッグに入れておきます。
つまりルデアックからでないとDNFできない縛りです。
ブレストからパリまで帰ることができるTGVは輪行袋必須のようですが、いざとなれば購入できるそうです。
こういうものはリスクとリターンを天秤にかけないといけないのですが、今回に限っては輪行袋を持ち運ぶことのほうがリスクが高いと判断しました。デメリットがないとは思っていませんが、メリットも大きいと考えています。
日用品仮眠関連
ルデアックでの仮眠所はかなり寒く質もあまり高くないと聞いたので、廊下でも寝られるようにサーマレスト ネオエアーウーバーライトを持参します。
またドロップバッグの容量が許すようならモンベルのシュラフを入れておきます。
ダウンハガー800 #3です。
そんな時間があるかわかりませんが、歯ブラシとシャワー用のシャンプーとボディーソープのパウチを持っていきます。
食事関連
どうも日本食が非常に恋しくなるようで、家にいくつか余っているアルファ米やおかゆ、炊き込みご飯などを入れておきます。水で戻して60分後に食べられるので、ルデアックを出発するときに水を入れておいて、途中で食事すればよいかなと考えています。
お湯もコントロールのスタッフにお願いすればもらえたという証言がありましたが、そんな時間はないかもしれないので。
しかもお湯を入れてしまうと割と冷ますのに時間がかかります。熱いのよ。
薬も入れておきます。
入れる薬は痛み止めと胃薬。こちらはいざという時に飲めるように持ち運びますが、同じく弾切れ対策です。
まとめ
ランブイエを発つギリギリまでドロップバッグの中身をあれこれ考えていそうですが、現時点で考えているのは以上です。
ドロップバッグはブルベライダーの生命線です。きっちり使い切ってゴールまでエンジンを燃やし続けられるようにします。
それでは今日はこのあたりで。